概要
詳細
ミミ・ブヘラ=ヘーブ

ミミことウィルヘルミナ・へーブは、1899年アッペンツェルにて、刺繍を施した布地の生産業を営む家に生まれ、1921年にカール・エドアルド・ブヘラと結婚しました。二人はチリのサンチアゴに移り、共に時計宝飾店を開きました。若いながらも、ミミはすでに旅の経験を豊富に積み、社交的でビジネスセンスに富む非常に有能な女性でした。彼女はその魅力と温かい人柄ゆえ、周りの人々から慕われていたのです。

1927年夏、商用のためミミは単独でスイスに滞在していました。秋にはイタリアまで足を延ばし、ジェノバから優雅な蒸気船『プリンチペッサ・マファルダ』号に乗船し、南米へ向かいました。船旅は決して平穏ではなく、船はエンジンのトラブルのために何度も停泊を余儀なくされました。1927年10月25日、真夜中を少し回った頃、プロペラシャフトの故障からエンジンルーム内に水漏れがあり、船体は間もなく、その4本のマストと共に傾き始めたのです。ミミ・ブヘラ=ヘーブを含めた314名の乗客と乗員を乗せたまま、船は沈んでいきました。海に沈んだ『プリンチペッサ・マファルダ』号の船体は二度と発見されませんでした。船にしっかりと積み込まれ、安全に保管されてチリへの上陸を待っていた積荷の数々―貴重な時計、稀少な宝石、ネックレス、ブレスレット、そして、初めて女性用として製作された、ミミのアールデコ調の時計―は、今でも船と共に海底で眠っているに違いありません。


SPACER Home サイトマップお問い合わせカタログ法的情報